小倉医師会の案内
事業計画
令和3年度北九州市小倉医師会事業計画
一昨年12月に中国湖北省武漢市を中心に発生した新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に全世界へと波及していきその感染力は凄まじいもので、昨年一年間は日本のみならず全世界のあらゆる日常生活を麻痺させてしまった。この年度末の時期においてもあらゆる職場や施設でクラスターの発生を引き起こしている。しかし我々医師もこの状態に手をこまねいていたわけではない。北九州市は昨年の5月に新型コロナウイルス感染症のPCRセンターを立ち上げ、10月の終わりには、北九州市と医師会との集合契約を結び、我々の診療所においても新型コロナウイルス感染症の抗原検査やPCR検査を保険適応で施行できるようになった。このことにより効率的に新型コロナウイルス感染症患者の囲い込みができるようになった。その後米国ファイザー製薬と独国のビオンテック社が共同開発したmRNAワクチンが開発され、その後英国、露国、中国でも開発された。今年に入り日本にも輸入され、我々もじきに接種できるようになった。しかしまだ治療薬は開発段階で、早い実用化が望まれる。
こんなコロナ禍での本年度の事業計画であるが、北九州市小倉医師会は地域保健課・臨床検査課・高齢社会事業課・看護専門学校の4事業部門の安定的な運営を図ることが重要と考える。このような状況においても小倉医師会の総務部門、事業部門ともに職員と担当役員の努力により業務は概ね順調に推移しているが、医療を取り巻く環境は日増しに厳しさを増しており手付かずにしておくわけにはいかない。
地域保健課については特定健診、特定保健指導、事業所健診、学校健診、住民健診など各種検診業務を展開している。しかし昨年度初頭から新型コロナウイルス感染症のために健診は中止か延期に追い込まれ、ようやく昨年秋以降から健診業務が増えてきているとはいえ散々たる影響を受けた。今後は新型コロナウイルス感染症ワクチン接種が進み、通常な日常を取り戻すことができると思われるので、昨年度の分を取り戻していきたいと思う。今後も各種健診顧客の安定的確保に向けて努力していく所存である。
臨床検査課については、会員医療機関の基幹業務である各種検体検査を受注して精度の高い検査を実施することで病院、診療所から高い評価を得ている。しかしここにも新型コロナウイルス感染症のため、我々会員医療機関における受診患者は激減し、そのため各種検体検査も激減した。それでも地域保健課と同様昨年秋以降徐々に回復しており、今年度はほぼ通年の状況に戻ると思われる。各職員は工夫を凝らして経費節約に努めており、今年度もよりいっそう収益増加に努める所存である。今までの問題としては、収益がやや右肩下がりであり、原因としては新規の顧客の伸び悩みがある。新規会員は開院コンサルタントとの契約により、開業時にすでに電子カルテ業者や民間検査センターと契約が終了していることが多く、なかなか医師会検査センターを利用してもらえる機会が減っている。対策として、入会説明時に医師会検査センターを利用することが小倉医師会入会の条件の一つであると入会担当理事に強く斡旋してもらうことなどを考えている。また、不採算検査項目に関しては外注を取り入れるなど今後も経費削減に努力する所存である。
高齢社会事業課は、国立病院機構小倉医療センターの敷地内に新築移転して早くも6年目になる。小倉医師会介護サービス総合センターと銘打ち活動している。国が推進する地域包括ケアの推進拠点として在宅医療・介護連携支援センターとしての重要な役割を持ち、北九州医療圏唯一のデイホスピス事業を展開している。小倉医師会介護サービス総合センター内の研修室では、このコロナ禍の中で人数を制限したりWeb配信に頼らざるを得なければならないながらも、日々介護サービスを支える多職種に対する講演会や研修会を開催し、将来の介護関連職種の技術の研鑽に力を注いでいる。2025年問題もあり今後一番に医師会事業で活躍していただきたい事業課で期待されている。新型コロナウイルス感染症のため、入院加療を行うと原則家族との面会もできないため、在宅医療の数が増加してきている。今後もまだこういった状況が続くと思われ、高齢社会事業課にはぜひとも頑張っていただきたい。
北九州小倉看護専門学校は大正10年6月に開校され令和3年6月で100周年を迎える。今年度に創立100周年記念事業を施行する計画であったが、新型コロナウイルス感染症のため来年度に延期することとなった。北九州小倉看護専門学校の最近の問題点として、准看護師科学生の受験希望者が年々減少してきていることである。このことは当校だけの問題ではなく近隣の医師会立看護学校も同様で、准看護師科を閉校に決めた所も出てきている。我々診療所を運営しているものにとって普段の診療を行っていくうえで准看護師は重要な戦力であり、なくてはならない存在である。学生募集人員が減ってきていることから、北九州市では准看護専門学校の集約化などの意見が出てきているが北九州小倉看護専門学校がその集約化のトップに立てるように努力していく所存である。
小倉医師会の諸事業や行政委託の諸事業もいずれも会員の先生方のご協力のもとに運営されており、ご協力が得られなければあらゆる事業がたちどころに頓挫することになる。このコロナ禍のなか、会員諸兄姉も大変な時期だとは思われますが、今後も皆様のご支援、ご協力を切にお願いしたい。
令和3年度 小倉医師会事業内容
Ⅰ.上部医師会への提言
Ⅱ.医師会組織の強化
1.新入会員の指導充実
2.隣組組織の調整と連携
3.専門医会との連携
4.勤務医部会との連携
5.私的病院会との連携
6.専門医会相互の連携
7.歯科との連携
8.小倉医師会医療フォーラム - 次世代を担う人材の育成
Ⅲ.会員支援対策
1.小倉医師会無料職業紹介所の活用
2.医療情報システム等の活用
3.医業経営支援(税務・労務・医師信用組合の利用促進)
4.新入会員の支援強化
5.広報機能の強化(会誌の充実と市民向け広報等)
6.医事調停への対応
7.労働保険事務組合の運営
8.研修医に対する医師会活動の説明
9.開業支援
Ⅳ.ITコンテンツの利用促進
1.会員・市民向け医師会ホームページの充実
2.医療機関検索システムの活用
3.講演会等のビデオ配信
4.パソコン面白塾の充実
5.「とびうめ@きたきゅう」及び「とびうめネット」の推進
Ⅴ.医療安全対策の推進
1.医療安全対策シンポジウム・講演会の充実
2.医道倫理の高揚と医療安全情報の提供
3.医療事故防止対策
Ⅵ.生涯教育の充実
1.学術講演・研修会の開催
2.生涯教育講座の受講促進
3.ビデオ配信、e- Learning等のITコンテンツ活用
Ⅶ.医療保険対策
1.迅速な医療保険関連情報の提供
2.保険研修委員会・保険個別研修の開催
3.社会保険諸指導への協力
4.労災自賠医療情報の伝達と会員からの相談窓口業務
Ⅷ.地域保健事業
1.健診センターにおける特定健診・特定保健指導事業
2.市民への各種健診活動とがん検診フェアの開催
3.地域に密着した健康づくり
4.予防接種対策
5.学校保健対策(学校医会・園医会の充実)
6.産業医会・産業保健活動の強化と地域産業保健センターの利用促進
7.会員健診・従業員健診等の実施
8.働き方改革関連法案に関して中小事業所への協力
Ⅸ.臨床検査事業
1.検査センターのサービス充実と利用促進
2.精度管理の徹底
3.特定健診の業務支援
4.各種公的疫学調査への協力
5.検査データ通信の利用促進
6.検査室などの作業環境整備
7.使用機器の耐用調査と計画的運用
Ⅹ.高齢社会事業
1.小倉医師会介護サービス総合センターの運営
2.在宅医療福祉ネットワークの推進
3.介護サービス事業による在宅高齢者ケアの支援
4.地域における訪問看護師、介護支援専門員、介護職の研修充実
5.在宅医療・介護連携支援センターの支援と地域包括支援センターとの連携
6.デイホスピス事業の推進
7.小倉介護サービス事業者連絡会の運営
8.認知症高齢者支援体制の推進
9.多職種連携の推進
ⅩⅠ.北九州小倉看護専門学校の運営
1.地域医療を支え、会員医療機関のニーズに応える質の高い看護職養成
2.e- Learning、iPad等を活用した看護教育の充実
3.准看護師科・看護師科の一体的運営
4.外国人看護師の養成支援
5.小倉医師会看護専門学校創立100周年記念への取り組み
ⅩⅡ.包括的地域ケアの推進
1.地域医療連携会議の活用
ア 病病連携・病診連携・診診連携の強化
イ コアメンバー会議の開催
ウ 地域医療連携パスの推進
2.地域医療支援病院運営委員会への提言
3.地域医療構想調整会議への提言
4.保健・医療・福祉・地域推進協活動の充実
ア 部会活動(高齢者支援・子育て支援・健康づくり)
イ 実務者勉強会「あい愛ネット」「ほっとスクラム」
ウ 健康づくり事業等の市民センターを中心とした地域活動
エ 三師会及び医療関係団体の連携推進
5.南北行政との連携強化
6.ペリネイタルビジット事業への協力
7.精神保健対策(アルコール・ニコチン・麻薬を含めた薬物依存症対策)
8.介護保険・障害者施策への協力
9.救急医療・防災事業への協力
ⅩⅢ.その他
1.新型コロナウイルス感染症対策
ア PCR検査等への協力
イ ワクチン接種への協力