小倉医師会の案内

事業計画

平成30年度北九州市小倉医師会事業計画

 

 2018年は診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時3改定をはじめ、医療計画・介護保険事業計画の実施、国保財政運営の都道府県単位化、薬価制度改革、DPC制度の見直しなど大きな改定が行われる年である。我々は改定率のみに目を奪われがちであるが、実はこうした制度改正や制度の新設こそが医療環境に甚大な影響を及ぼす主要因となりうる。診療報酬改定だけをとっても診療所にとっても病院にとっても大きな改定内容となっており、改定率もさることながら、その改定内容にこそ着目すべきことは言うまでもない。

 ICTの利活用も更に加速し、オンライン診療が点数化されるほか、ビッグデータを利用して国民が高度の保健医療サービスを効率的に受けることのできる環境を構築するとして未来投資戦略2017に盛り込まれたデータヘルス改革を推進することや、費用対効果を明確に意識した米国流のバリューベースヘルスケアの概念も導入されるなど今後の医療を取り巻く環境は極めて複雑な様相を呈している。

 少子超高齢社会のなかで持続可能な社会保障制度を維持するのは誰が考えても至難であり、厚生労働省も各部局において審議会、委員会、検討会を頻繁に開催し、その答申を踏まえてこの難局に対処しようとしている。私のみるところ総体的には国が総力を挙げてあらゆる側面から社会保障を維持しようと真摯に努力していることは確かであって、われわれもそれに医療の専門家として最大限に協力し、提言すべきことは論を待たない。

 しかしながら、マンパワーの問題だけでも、そうした多岐に亘る各種委員会等に医師会代表委員がかかわること自体が不可能である上に、医師会側の出席委員がAIやICT、IOTなどの専門家や国内外の医療制度の研究者に伍して建設的な提言をし、リーダーシップをとることがどれほど非現実的であるかは誰の目にも明らかである。

 一方、厚労省医薬生活衛生局はかかりつけ薬局機能の強化のために健康サポート薬局の普及促進事業を引き続き行っており、当地においてもすでに大型チェーン薬局において糖尿病、脂質異常症などの血液生化学検査を調剤薬局内で実施できる機器(POCT対応機器)を設置して稼働するなど、平素の生活習慣病の管理をかかりつけ医から健康サポート薬局に移行させようとする動きもある。それが医療機関の受診抑制に直結するリフィル処方箋の制度化へと繋がる恐れも杞憂ではない状況となってきた。このあたり、関係法整備も含めて時系列でみてゆくと、それらがきちんとしたロードマップに沿って推移していることが理解できる。ともすれば、われわれは眼前の事象しか目に入らないが、それの来し方行く末を俯瞰的にみる眼力を身に着けると日本医療の近未来がより鮮明に見えてくるだろう。

 問題は、こうした動きが地域包括ケアシステムの構築や多職種連携の文脈の中で語られ正当化され制度化されてゆきつつあることで、すべてのかかりつけ医と医師会自体が十分な現状認識と危機管理意識を持つ必要があろう。

 この度の改定では薬価制度の抜本改革により薬価の大幅な引き下げや新薬創出加算の絞り込みなどで社会保障関係費の伸びを5000億円程度に抑え込めたが、将来的には診療報酬に踏み込んだ抑制策を選択せざるを得ない状況も必至となろう。この厳しい状況の中で診療側としてこれだけの成果が挙げられたのは偏に日医横倉執行部ならではの交渉力の賜であり、その努力には中心より敬意を表したい。

 

 さて足元に目を向けると、国のかじ取りの難しさもさることながら医師会事業もそれぞれに克服しがたい難題を抱えている。 

 本年度の事業計画については引き続き地域保健課・臨床検査課・高齢社会事業課・看護専門学校の4事業部門の安定的な運営を図るとともに総務部門、事業部門ともに前年度と同様に会長諮問を発出する予定であり、従来業務の継続に満足することなく常に業務を刷新向上させる気概を維持し、小倉医師会組織の活性化に繋がる建設的な答申を期待するところである。前回の会長諮問では各部門に対して諮問し、答申を受けたが担当理事と職員各位の努力により大きな成果を得ることができた。各医師会の状況をみても弛まざる前進と向上を怠れば衰退は必定である。

 

 総務部門では圧倒的に充実した小倉医師会ホームページと読み応えのある小倉医師会誌により会内会外広報機能が飛躍的に向上したことは既に会員各位もお気づきのことと思うが、新入会員に対する系統的なレクチャーを実現するオリエンテーション資材の整備、会員の基幹業務である保険請求や電子カルテシステムの選定などの会員福祉業務の充実、昨年より盛況裏に新規発足した小倉医師会研修医を囲む会の開催、勤務医部会の精力的な活動など会員のセクレタリー業務にとどまらず広範な業務を展開している。

 

 地域保健課については特定健診、特定保健指導、事業所健診など各種健診事業を展開しているほか特定健診の大規模データの詳細な分析を学術論文にまとめ、医師会立共同利用施設連絡協議会で発表するなど精力的に活動しているほか、今回記念すべき10回目を迎えた「食と健康を学ぼう」や「これでなっとく!健康長寿」など医療系他団体やNHKなどとの共催による市民啓発活動を主導するなど高い評価を得ており、健診精度の維持と健診受診者の安定的確保に引き続き努力しているところである。景況にも影響を受ける各種健診顧客の安定的確保は引き続きの課題であり、高額検査機器や管理データベースシステムの更新に伴う支出の抑制も懸案事項である。

 

 臨床検査課は会員医療機関の基幹業務のひとつ、各種検体検査を受託して精度の高い検査を実施することで病院や診療所から高い評価を得ている。各職員は精力的に学会発表を行い、それぞれの分野の研修会、講習会に積極的に参加して最新の知見の習得を怠らず、質量分析技術を利用した最新の細菌同定装置(MALDI)など高精度の各種検査機器と検査結果を管理する高機能のデータベースシステムにより迅速かつ正確にユーザーに結果を届けることで地域医療を支えている。会員医療機関の様々な電子カルテシステムなどにきめ細かく対応するほかスマートフォンやウェブ上でも結果を閲覧できるなどICTを活用して民間他社との差別化を図っている。民間各社との兼ね合いで難渋する料金設定や今次の検査保険点数のマイナス改定による減収、高額検査機器の更新もさることながら開業コンサルタントの介入により入会時に新規ユーザーの獲得ができないケースが多々ありその対応に困難を極めている。

 

 高齢社会事業課は、国立病院機構小倉医療センター敷地内という望外の好立地を得て小倉医師会介護サービス総合センターを中心に活動している。地域包括ケアの推進拠点として在宅医療・介護連携支援センターとしての役割を担うほか北九州医療圏唯一のデイホスピス事業などを展開し、今後最も期待される部門であるが、従来のサービスについてもより一層の拡充を目指すとともに150席の研修室を活用して小倉医師会かかりつけ医認知症研修会や多職種連携研修会、在宅医療福祉ネットワーク研修会など高齢社会を支えるあらゆる職種の養成に精力的に注力しており小倉医師会内外の評価も圧倒的に高い。看護、介護職員の確保と顧客の安定的確保は引き続きの課題である。

 

 小倉看護専門学校は100年近い歴史をもち、准看護師と看護師の養成を通じて質の高い看護職を多数輩出している。准看護師科・看護師科ともに県試験、国家試験の合格率も高く、地域の医療機関から高い評価と厚い信頼を寄せられている。近年看護職のキャリアアップ志向や近隣のレギュラーコースの新設校設置に伴い診療所や中規模病院での看護職確保が困難となりつつあるほか看護職養成校も准看護師養成から看護師養成へとシフトしつつあるのが現状であるが、当校にあっては准看護師の養成と進学過程看護師科の体制を引き続き堅持している。また平成25年より取り組んでいる外国人看護師のリチャレンジプログラムについては小倉医師会発の事業であるが、当初の目標通り福岡県の助成を得て福岡県医師会の事業にまで拡大し、現在、小倉医師会と久留米市医師会の2拠点で看護職養成を行っている。昨年度よりインドネシアに加えてフィリピン出身者の支援も行っており、引き続き国内外の看護職養成に邁進したい。

 近年の受験者の減少傾向は著しく、それに伴い優れた学力の受験生の確保が困難となっていることが医師会立看護専門学校に共通する最大の課題であるが、複数回の入学試験を実施するほか会員推薦入試や特待生制度の新設、オープンキャンパスの夜間開催など様々な対策を打ち出して対応を模索している。

 

 小倉医師会の諸事業も行政委託の諸事業もいずれも会員の諸先生方のご協力のもとに運営されておりご協力なかりせばあらゆる事業がたちどころに頓挫することとなる。諸先生方のご協力が必須ではあるがお一人お一人のご負担が過重にならぬよう広く薄く負担を担って頂くように入会の促進と共に入会時の指導強化を図ることも今期の課題と捉えている。

 

 小倉南北区は全国でも有数の医療資源集積地域であり地域医療支援病院数をはじめ医療機能の各指標は圧倒的に上位に位置する。このような地域にあっては病診連携、病病連携、診診連携を軸とする地域医療連携は効率的で良質な医療の提供には必須の要件であり、会員医療機関の平素の診療業務にとっても最も重要な課題である。小倉医師会地域医療連携会議などを通じてこれらあらゆる連携の推進に引き続き全力を投入する。会員各位のご支援とご協力をお願いしたい。 

 

 

 

事 業 内 容

 

Ⅰ.上部医師会への提言

 

Ⅱ.医師会組織の強化

1.新入会員の指導充実

  2.隣組組織の調整と連携

  3.専門医会との連携

  4.勤務医部会との連携

  5.私的病院会との連携

  6.専門医会相互の連携

  7.小倉医師会医療フォーラム

 

Ⅲ.会員支援対策

  1.小倉医師会無料職業紹介所の活用

  2.医療情報システム等の活用

  3.医業経営支援(税務・労務・医師信用組合の利用促進)

  4.新入会員の支援強化

  5.広報機能の強化(会誌の充実と市民向け広報等)

  6.医事調停への対応

  7.労働保険事務組合の運営

  8.研修医に対する医師会活動の説明

 

Ⅳ.ITコンテンツの利用促進

  1.会員・市民向け医師会ホームページの充実

  2.医療機関検索システムの活用

  3.統合型診療支援システム(e-Doctors)の利用推進

  4.講演会等のビデオ配信

  5.パソコン面白塾の充実

  6.とびうめネットの推進

 

Ⅴ.医療安全対策の推進

  1.医療安全対策シンポジウム・講演会の充実

  2.医道倫理の高揚と医療安全情報の提供

  3.医療事故防止対策

 

Ⅵ.生涯教育の充実

  1.学術講演・研修会の開催

  2.生涯教育講座の受講促進

  3.ビデオ配信、e- Learning等のITコンテンツ活用

 

Ⅶ.医療保険対策

  1.迅速な医療保険関連情報の提供

  2.保険研修委員会・保険個別研修の開催

  3.社会保険諸指導への協力

  4.労災自賠医療情報の伝達と会員からの相談窓口業務

 

Ⅷ.地域保健事業

  1.健診センターにおける特定健診・特定保健指導事業

2.市民への各種健診活動とがん検診フェアの開催

  3.地域に密着した健康づくり

  4.予防接種対策

  5.学校保健対策(学校医会・園医会の充実・高等学校医対策)

  6.産業医会・産業保健活動の強化と地域産業保健センターの利用促進

  7.会員健診・従業員健診等の実施

 

Ⅸ.臨床検査事業

1.検査センターのサービス充実と利用促進

2.精度管理の徹底

3.特定健診の業務支援

4.各種公的疫学調査への協力

5.検査データ通信の利用促進

6.検査室などの作業環境整備

7.使用機器の耐用調査と計画的運用

 

Ⅹ.高齢社会事業

  1.小倉医師会介護サービス総合センターの運営

  2.多職種連携の推進を中心とした地域包括ケアシステムの構築

  3.在宅医療福祉ネットワークの推進

  4.介護サービス事業による在宅高齢者ケアの支援

  5.地域における訪問看護師、介護支援専門員、介護職の研修充実

  6.在宅医療・介護連携支援センターの支援と地域包括支援センターとの連携

  7.デイホスピス事業の推進

8.小倉介護サービス事業者連絡会の運営

  9.認知症高齢者支援体制の推進

 

ⅩⅠ.北九州小倉看護専門学校の運営

  1.地域医療を支え、会員医療機関のニーズに応える質の高い看護職養成

  2.e- Learning、iPad等を活用した看護教育の充実

  3.准看護師科・看護師科の一体的運営

  4.外国人看護師の養成支援

 

ⅩⅡ.包括的地域ケアの推進

  1.地域医療連携会議の活用

   ア 病病連携・病診連携・診診連携の強化

イ コアメンバー会議の開催

   ウ 地域医療連携パスの推進

  2.地域医療支援病院運営委員会への提言

  3.地域医療構想調整会議への提言

  4.保健・医療・福祉・地域推進協活動の充実

   ア 部会活動(高齢者支援・子育て支援・健康づくり)

   イ 実務者勉強会「あい愛ネット」「ほっとスクラム」

   ウ 健康づくり事業等の市民センターを中心とした地域活動

   エ 三師会及び医療関係団体の連携推進

  5.南北行政との連携強化

  6.精神保健対策(アルコール・ニコチン・麻薬を含めた薬物依存症対策)

  7.介護保険・障害者施策への協力

  8.救急医療・防災事業への協力

 

ⅩⅢ.その他